February 10, 2012

PC Live

2012年の年明け1/20に元住吉にあるライブハウス、Powers2にて久々にやったラップトップ・ライブ。縁あって凄腕パーカッショニスト、辻コースケと、ECHOAでギターを弾いていた戸前タカマサを加え3人編成で行ったが、まず辻コースケのパーカッションが凄すぎて自分の曲が全て新鮮に聴こえ、終了後友人に「下半身が客みたいだった」と言われたほど踊り倒す。
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2010年リリースの「Sacred Days」制作終了ちょっと前に代官山AIRでやったライブでも、サックス藤枝紳介と、ギター小島大介との3人編成。ラップトップ+2ミュージシャンの編成が、この種のライブをやるにあたって改めてかなりイイ感じがします。こちらは映像。

とは言うものの、シンプルにオリジナルのダンス・トラックを生リミックスみたいに聴かせるPCライブもいいです。ただこれはお客さん的にはDJプレイと思われてた。江ノ島Freedom Sunsetでのライブ。

ということで貴方のオファーお待ちしております…

August 23, 2011

島の想ひ出(夏)

Aurora Acoustic with U-K-O (Tabla) live at Sunset Lounge, Eno-Shima
タブラ奏者の瀬川UKOとの久々のセッションは最高のシチュエーション。Freedom Sunset改め、ライブ・イベントとなったSunset Loungeのオープニング・アクトです。真夏の午後、緩やかな潮風が通り抜けるテラス、上空を鳶が舞う環境と溶け合っていく、気持ちの良い時間でした。

June 14, 2011

島の想ひ出

including "Ramafar"

March 13, 2011

A Message from Joe Claussell

慎んで、この度の災害により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
また、甚大な被害に見舞われた被災地の一日でも早い復興と、当地の皆様のご健康をお祈り申し上げます。
本当に大変な状況におられる中、日本国内はもとより、世界中から復興のための支援と祈りが集まっていることと思います。多くの人々が応援しています。頑張ってください。
これ以上、被害が広がりませんように。

この災害に関して、尊敬するNYCのDJ、Joaquin "Joe" Claussellより、日本へ向けたメッセージを先ほどもらいました。力強い言葉であり、また私達が普段なかなか表現出来ないことが書かれていたため、言葉の持つ力を信じて、御本人の承諾を得てここに掲載します。

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Dear Brothers, Sisters, Friends and Family Of Japan

I, we pray that you, your families and friends were not seriously affected by the horrific tragedy that has happened in your beautiful country.

I know that words cannot heal the pain or the fears that all of you are going through, as well as cannot replace what has been lost so far. But I feel that it is very import that you all know that we (the world) are going through this tragedy with you…you are not alone! I also feel that it is equally important that you understand that the earth is not directing his or hers anger towards you alone, it is angry with all of us! We have all in one-way or another abused our planet to the point that for quite some time now it has increasingly grown angry and has been speaking to us with rage.

The time must come where even in the face of hardship and suffering, that we face the facts and begin to listen to these messages - other wise more of what happened will occur, as it already has in places other than Japan, like for example; New Orleans, Indonesia and Haiti to name a few…Oh Yes, you are not alone- for we are all in this together!

In the mean time, please know that we are all praying that your tragedy ends immediately! We also want you to know that you can count on our help for anything, because restoring faith and happiness to all of you, as well as others who are going through a similar circumstance is our main Priority.


For your pain is our pain
Your sorrows are our sorrows
And you Happiness is our Happiness


We are Family and we Love You

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日本の大切な友人でもあり、家族でもある皆さんへ。

皆の家族や友人が、この日本という美しい国で起きた惨事に見舞われていないことを祈っているよ。
僕は皆が体験したこの惨事に対する痛みや恐ろしさを言葉で癒す事は出来ないし、失ってしまったものに対する代わりになるものは無いことも理解しているけれ ど、今、世界が1つになり日本にいる皆と試練を迎えていることを認識することが重要だと考えているんだ。そう、だから君一人で立ち向かうことではないんだ! そして、同時にこの惨事は誰か一人のためだけに向けられた地球の怒りではなく、人類に向けられた怒りだと認識することも重要と考えている。僕達はかなりの 長期間に渡り一方的に、そして過大な負担を地球にかけたために地球の怒りが徐々に増幅し噴き出してしまったんだ。

現在直面している苦しみは必然的に起きたことだ。だから僕達は地球からのメッセージに耳を傾けるためにこの現実を見つめなくてはならないんだ。さもなけれ ば、ニューオーリンズ、インドネシア、ハイチなど日本でも起きたことと同じことが又起きてしまうだろう。そう、だから一人だけで立ち向かうのではなく、僕 達は皆一丸となり、この現実を正視しなくてはならないんだ!

僕達はこの惨事が一刻も早く終焉を迎えることを祈っているよ!そして、僕達は皆が何かを信じる気持ちと幸福を取り戻すための支援をするつもりだよ。また、 そういった支援は人として、何よりもしなくてはならない物事の最優先事項だ。

誰か一人の痛みは、僕達皆の痛み、
誰か一人の悲しみは、僕達皆の悲しみ。

そして。誰か一人の幸福は、僕達皆の幸福。
僕達はファミリーだよ、そして we Love You.
多くの人々の代表として。


On Behalf Of So Many Others
Joaquin Joe Claussell
Japanese Translation By:
Megumi Wakatsuki
kontakt@sacredrhythmmusic.net
3/12/11

写真・文ともにJoaquin Joe Claussellより。
http://www.sacredrhythmmusic.net/

February 16, 2011

FLOATRIBE

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10年続けてきたパーティーが11年目に差し掛かるところで幕を閉じる。FLOATRIBE、Chari Chariファースト・アルバム「Spring to Summer」をリリースした翌年2000年に同じレーベル"File Record"でDub Archanoid Trimという名義でアルバム・リリースした岩城健太郎に声をかけ、青山CAYでスタートした。それ以前にも"真空管"という今は無いクラブでお互いレギュラーを持っていたこともあり交流はあったが、何か新しいことを始めたいという野心や希望が次の段階へのガイダンスとなり、大きく異なるベクトルへの一歩を踏み出すために行動していたことを思い出す。それから10年。
2004年に現在開催しているUNITがオープンしてすぐに場所を移し、規模も大きくなって様々なことを手がけてきた。当然のように良い時もあれば課題が残る時もあり、振り返れば正に紆余曲折といった感じだが、総じて良い体験をさせてもらった。良い出会いもたくさんあった。
いくつかの事情が折り重なり2月19日土曜日、この永き道のりに一旦終止符を打つ。想いはたっぷり詰まってるが、さらなる一歩を踏み出す意味でも、決断は賢明だったのではないかと今は思っている。
今度の土曜日、UNITのダンス・フロアでお会いしましょう。
http://www.seedsandground.com/old/2011/02/110219sat_floatribe.html
Photo by KEEE
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February 09, 2011

2010 disc heritage

2010年度もダンス・ミュージックに限らず音盤をいろいろ購入したので、記録のためにもベスト5を遅まきながら上げておきます。陳腐な言い方かもしれないけど、いい音をしかるべき音響で聴くのは常にメディカル、サイケデリック、ドラッギー…いつまで経っても。

Mungolian-moonjocks.jpg Mungolian Jet Set
"Moon Jocks N Prog Rocks"

P-Funkの再来みたいでかっこよすぎる。しばらく頭から離れないリフレイン。狂い咲きディスコロード。

Ali Farka Toure & Toumani Diabate.jpg Ali Farka Toure & Toumani Diabate
"Ali and Toumani"

西部アフリカはマリ共和国の巨人2人のタッグ。伝統楽器コラとアコギの絡み、タペストリーに眩惑される。これで12弦ギターの練習をする。

seahawks.jpg Seahawks
"Ocean Trippin'"

Balearic的なラインだと思うけどもはや退廃美。自由。こういうのを聴くと何故かケン・ラッセルの映画「アルタード・ステイツ」を思い出す。アイソレーション・タンクにそろそろ行ってみよう。

Steve Tibbetts.jpg Steve Tibbetts
"Natural Causes"

タイトルを邦訳すると「自然死」。正に浄土、涅槃系の臨死音楽。と言ってもおどろおどろしいものではなく、柔らかいアコースティック楽器のディープなアンサンブル。

mcbride-effective.jpg Brian McBride
"The Effective Disconnect"

生ストリングスも入るアンビエント、ポスト・クラシカル。何がしかの治癒効果が高いと思う。

January 07, 2011

謹賀新年2011

新年明けましておめでとうございます。
旧年中も様々な方にお世話になり、深く感謝いたします。
昨年8月に久々のアルバム作品をリリースし、ご好評を頂きました。
この今まで継続してきた活動でありながら新たな体験により、自分にしか成し得ない音楽表現は状況の如何に関わらず押し進めるべきとの確信を得ることが出来ました。
気がつけばバンドに参加して人前で演奏を始めてから25年、クラブのレジデントDJを務め始めてから15年越え、音源リリースを始めてからも15年越えました。
キャリア云々というより、長きに渡る体験により蓄積されたモノは醸成されてしかるべきでしょう。
New Decadeの抱負として、今後ダンス・ミュージックはもとより、Aurora Acousticとしての活動や、問い合わせの多いアレに関しても何らかのアウトプットをしていこうと考えています。
本年も何卒よろしくお願い致します。

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November 10, 2010

The Invisible Eclipse feat. Jebski

Kaoru Inoue - The Invisible Eclipse feat. Jebski
Movie, directed by Haruka Sakota

October 27, 2010

Interviewed by Salam Unagami 3

part3「リズムとハーモニーが幸福感をもたらすということを信じているから」

~『カムイフチ』という曲はアイヌ語だね。
「それは北海道で録音したから。札幌の東にある江別市に住むLOVELIGHTというバンドの連中とセッションしたんだ。その頃、岩波文庫の「アイヌ神謡集」という本を読んでいて、カムイフチ、火之神という言葉が出てきた。音の印象からイメージがそこに結びついて、それに北海道で録音したというのも何かある。北海道には沖縄同様にどこか異色なノリがあるよ。沖縄は民謡という土地の音楽があるから、それをやってるけど、北海道は東京と同じく土地の音楽はない。それにアイヌ音楽とは分断されている。それでも音楽をやってる連中と知り合うと、土地が何かを形作ってるなと思わされることが多い。オレ達は東京とは混ざらない、札幌発信でやっていくという意志を持っている人が多い。
 北海道は自然環境自体が違う。LOVELIGHTのメンバーは自然との距離が近すぎて、UFOに導かれてとか(笑)スピリチャルな事ばかり言うんだ。ちょっとワケわかんない。「それはUFOじゃなくてロシアの人工衛星じゃないの?」と言うと、「いやUFOです」と。札幌のDJの時に彼らがオレを千歳空港まで車で迎えに来てくれた事があって、その車の中でUFOと宇宙の話を延々としてて、「このギャラクティックな気持ちのままみんなでセッションをしましょう!」とか言って。東京人からしたら変だよね。そういうことが阻害されずにやれる環境なのかな。野外のレイヴパーティーも本州以上に多いから、「星がきれいで降ってくるようだ」みたいな経験も日常的。だから同時におかしな事にもなるんだろうけど。「昨日、UFOを呼んだら本当に来ちゃってさ」みたいな。それを完全に納得はしないけど、「ふざけんなこの野郎!」とは言えない。それはUFOじゃなくて、星だったり、衛星だったりするのかもしれないけど、みんなで念じたら何かが来たということを集団で共有する、それ自体が幸せなことなんじゃないかと。そう錯覚させる自然環境が残っているのがすごいなあ。北海道にはそういう事もあるんだろうなあと。東京では出来ない何かがあって、それも新しいフォルクロアなのかもしれない」

~オレの周りも、気づくとベリーダンサーや魔女ガール、アセンションやらマヤ歴カレンダーで生きてる人、いわば片足オカルトに突っ込んじゃってる人間が多くなったよ。
「ははは、やっぱり?」

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~十数年前と比べて井上君の中で変わらないこと、変わった事って何だろう?
「音楽の作り方は基本的には変わらない。使っている機材も進化はしているけど基本的には変わらない。変わったのはメンタリティーだろうね」

~10年前はUFOを呼べる人達は周りにはいなかっただろうし(笑)。
「いたとしても、「何言ってるんだこの野郎!」と言っていただろうね。そう言わないということはオレもそこに片足突っ込んでいるのか?(笑)
 いや真面目なところ、音楽を職業として自覚と誇りを持ってやれるようになったということはすごく変わったね。DJをやり続けていると人に音楽を届けていることを実感出来るから、自分の中のニヒルな所がなくなって、真摯に取り組むようになった。人のために音楽を届けますという意識は10年前にはあまりなかった。もちろん自分のために音楽を作ってはいるけど、届けられる所があるなら人数は多かろうが少なかろうが届けますという意識が強くなった。今は職人のように、人に届けるのがオレの職業だと。だから、その気持ちを形作る技術の改善も怠ってはいけないと思う」

~ではこれからの10年、テン年代にはどんな音楽を作っていくつもりですか?
「これまではグローバル化という言葉でアメリカが覇権を持って統治をすれば社会や世界を前進させると思われていた。それに対し、「いや、そうじゃないよ、戦争はなくならないし、矛盾が増えるばかりだよ」というのがゼロ年代だった。だから、これから先は少しずつだけど、土地と自治みたいなことが出てくると思うんだ。そうなると過去に行われていたコミュニティーの通念みたいなものが呼び戻されていくんじゃないかと想像しているんだよね。そこで地球環境が復旧されることがあるとしたら、シャーマニズムが再び出てくるんじゃないかと。そこでオレはイメージ上で自分をシャーマンに重ねながら、片足の膝から下をオカルトに突っ込みながら(笑)、その思いを音に転換出来ないかと思ってるワケだよ。それはなぜかと言うと、音楽の構成要素であるリズムとハーモニーが単純に多幸感をもたらしたり、人間同士をハーモナイズさせたり、トランスさせたりするということをオレは少なくとも信じているから」

取材・文・構成:サラーム海上 www.chez-salam.com

October 14, 2010

Interviewed by Salam Unagami 2

part2「DJという行為を通じてハレの日の音楽を担っている」

~『Sacred Days』について、前作「ダンサー」と比べると民俗音楽のサンプリングが増えた。以前作っていたchari chari名義の作品のような。
「そう言われることが多いね。フォルクロア、民俗音楽、辺境の音楽への興味が再び自分の中で浮かび上がってきたから。それは90年代の頭に六本木WAVEのワールドミュージックのコーナーで働いていた頃から変わらないけれど。思い起こすと、幼稚園から小学校四年生まで岡山に住んでいて、当時は自然がまだまだ残っていて、川で手づかみで魚を捕まえて遊んだり、野山を駆け巡ったり、それが子供時代の経験として刻み込まれている。それが今になっても行動の原理のどこかに紛れ込んでいて、ふっとプリミティブなものを選んでしまうのかもしれない。そこで今回も制作の途中にピグミーのポリフォニーなどの昔聞いていた音を思い出して、CDを探し出して聞き直した。
 DJをしているとダンスミュージックはいやでも耳に入ってくる。だから、それ以外の音楽を一人で聞く時間は貴重だなと思うようになった。一人で音楽に向かう時間、例えば、暗いゴシック・パンクみたいのをレコードで聞いて(笑)一人悦にいるみたいな時間ってどんどん無くなっていくと思うんだ。だから今は意識してそんな時間を作るようにしている。そういう時に素晴らしいなあと思うのが民俗音楽やジャズだった。ピグミーのポリフォニーで言うと、彼らは持っている文化の力、技術を全てポリフォニーにつぎ込んじゃって、だからそれ以外は発達していないんだという話もあるほど(笑)。すごく原始的だけど機能的な社会言語になっているし、創造的な何かをポリフォニーにつぎ込んでいる。無意識過剰に聞こえるけど、実は綿密に作られているんじゃないかと。今の時代、音楽制作はやろうと思えばすごくインスタントに作れる。でも、オレはピグミーのポリフォニーと同じような深みに触れる作品を作りたい」

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~では、それをダンスミュージックとして完成させるのに重要なことは?
「オーディオ特性。そこに一番時間をかけてたと言って良いくらいこだわった。キックの音がフロアでどう鳴るか。最終的にそこなんだよね。曲が人に与える印象ももちろん考えるけど、フロアでの音響特性、どう機能的であるか。そこにきっちり時間をかけないと、やってきたことが全部水の泡になる可能性もあるから」

~『Sacred Days』=「聖なる日々」というタイトルにはどんな意味があるの?
「直訳すると「聖なる日々」だけど、日本の民俗学の「ハレとケ」を意図したんだ。DJとクラブ空間というのはハレの日を担っている、非日常であって、何かしらの聖性にも結びついていて。DJという行為を通じてオレはハレの日の音楽を担っているんだなと。そう思うと重責があるな、使命としてすごいものがあるなと、勝手に思いをふくらませて作っていったんだ」

~曲のタイトルも民俗学的だよね。
「制作途中にそういう本ばっかり読んでいたから。レヴィ・ストロースやル・クレジオのような先住民文化を見直すような本を。なぜそこに行ったかというと、現代社会の手詰まり感からだよね。未来が見えない。このままのやり方で50年やったら先がないとはっきり名言している人もいる。それに身の回りにエコ活動家みたいな人がいて、彼らと話していると、あまりに理想主義的な部分も感じるけど、やはり先住民文化がキーワードのひとつになる。先住民は地球環境と共生する知恵を代々築いてきたのに対して、我々は資源を乱用して経済発展しているだけだと。そんなことを知っていくのと同時に、ピグミーのポリフォニーや先住民の文様シンボルを見ると単純に惹かれるものが多い。その一方で、東京に住んで自分の生活する範疇、目に見えているものにどんどんリアリティーがなくなっていく。そこで知識としてインプットしたものを、オレはどういう形で表現するかというと、それが音楽であって、そこに投影していきたい。カッコイイことを言い過ぎかもしれないけど」

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取材・文・構成:サラーム海上 www.chez-salam.com

October 05, 2010

Interviewed by Salam Unagami 1

玉置浩二+青田典子の鮮烈ジャケも記憶に新しいTV Bros創刊600号にて掲載された、サラーム海上氏によるインタビュー。誌面の都合で掲載出来なかったその全文フル・バージョンを、氏の御好意により当BLOGにて3回に分けて掲載します。

part1「大手でやらなくて良かった」

~新作はどこからどう聞いても井上薫の作品だとわかる最新型のテック・ハウスになっている。前作「ダンサー」以来だから5年ぶりと随分間が空いたね。
「その間はギタリスト、小島大介とのオーロラ・アコースティックでライヴ活動をしたり、今作にも参加しているサックス奏者の藤枝伸介とFusikでミニアルバムを出したり、それにMIX CDやコンピを出したり、DJはいつも続けていたから、自分ではそんなに空いた感じはしないんだけど」

~大手レコード会社からリリースすると聞いていたけど、最終的には自分のレーベルで出したんだね。
「2008年頃、某社のディレクターと会う機会があって、新作をやらない?と聞いたら、やりましょう!という事になって、少ないながらも予算を割いてくれてスタートしたんだ。クラブミュージックは90年代末にものすごいバブル期があったわけで、それが2000年代後半の音楽産業の転換期に音を立てて崩れていく中で、今更メジャーでやるメリットがあるのかわからなかったけれど、ただ、レコード会社というしっかりした組織から作品を出す経験はこれが最後になるかもしれないし、その中で最後っ屁(笑)みたいのが出来れば良いと思っていたんだ」

~でも、今やクラブミュージックでメジャーからリリースしている人って石野卓球さんを除いて、後はJポップのお姉ちゃん歌手をフィーチャリングした乙女系ハウスの人くらいでしょう。真っ当なクラブミュージックを真っ当な形ではメジャーからは出せないし、出す意味もないでしょう。
「何が真っ当かわからないけどね。オレの担当ディレクターもクラブミュージックが好きな人間だし、自分にとってリアリティのある音楽を手がけたいという気持ちが残っていて、だから売上げの目標を無理矢理立ててまで、オレの作品にこだわってくれたんだろうけど。そんな売上げなんて絶対に立たない時代なのに。それで完成したにも関わらず、発売日がどんどん延期になっていって」

~去年の夏くらいには完成したと聞いていたけど。
「そう。去年の7月の奄美皆既日食音楽祭の時にはあらかた出来上がっていた。その後、ある時から担当ディレクターに連絡が取れなくなり、半月くらい膠着状態になった。そこで、どうしようかと。もう出来上がっているし。仕方ないので自分達でやろうかという話になって。インディーズの大手に持って行けばと人からアドバイスをもらったりもしたけれど、流通会社を使って個人レーベルで出すことにした。CDの売上げ枚数が個人でも流通業者を通じてハンドリング出来るくらいの数にまで減っている時代だから。結果、ある意味非常にいい経験になったわけだけど、メジャーでやらなくて本当に良かった」

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~5000枚でオリコンの週間シングルベスト10に入る時代。そんな売上げじゃ制作コストは払えないし、もはや都心の一等地に会社を構えている意味がなくなってしまった。同時にアーティスト個人が自分のレーベルを持って、自宅に在庫を抱えて、CDが詰まった段ボール箱が数十箱くらい積み上がってるのは当然になった。
「そうそう。そういうレベルでも、CDがそれなりに売れて、作り手に還元されるのなら、汲々とする必要はない。ただ、CDを買うという行為が若者にとって日常的ではなくなっている。地方に行って色んな人に会ったり、話を聞いたりしていると如実にわかるね。東京はまだモノにあふれている。地方のクラブにCDを持って行って、DJの前後に手売りをしていると、家にCDプレイヤーがないとか、CD自体を買ったことがないとか、誰かが一枚買ってそれをコピーしてもらうとか、そんな話ばかり聞く。クラブはお酒の現場なので、「今買ってくれたら、一杯お酒をおごるから、買って!」(笑)と言うと、「私はプレイヤーを持っていないけど、父が持っているので記念に買います~!」とか、CDがまるで絵ハガキのようなものになっている。それに地方にはCDを売っているお店もどんどんなくなってきているし」

~最近オーディオを買い換えたという話を聞いたことないもんね。iphoneやipodを買う人、ヘッドフォンを買い換える人はいるけど。思うに、何かを回転させて音楽を聞くという時代が終わったんだよ。蝋管レコードから始まって、SP、LP、CD、MD、何かのメディアを回転させて音楽を楽しむ一世紀が終わり、ipod、youtubeのような物理的な回転を伴わないメディアによる音楽の聴き方に変わった。レコードだったらターンテーブルに盤を置いて、針を降ろして、回転しているのを実感しながら聞く。そこに何かのありがたみみたいなものを感じてたのかもしれない。プレイヤーの前で正座すると、回転しているレコードに向かって手を合わせて拝みたくなるような(笑)。
「オレもDJをこれまでのレコードやCDJでのプレイからコンピューターのプレイに移行しようとしてるけど。オレはレコード文化で育って、レコードが回転して音が出るということが刻み込まれているから。やはり何かが回っていないと実感がない。だから完全にPCに移行するのは二の足を踏んでしまうんだ。それを周りの人間に言うと、ハードディスクも回転してますよと言われた(笑)。
 しかし、その回転メディアだって20世紀初頭に生まれて、100年間続いてきただけで、本来の音楽にはそんな形すらなかった。回転しているものを拝みたくなるというコレクター文化が終焉しつつあるのは、もしかしたら健全なのかもしれない。ただ、そこでモノとしてのレコードを収集することや、ジャケットアートと内容を対比して生まれていた議論とか対話とかがどんどん無くなっていく。音楽に付随するコミュニケーションがどんどん無くなっていくのは残念だよね。でも、クラブのような音楽の鳴っている現場で、また新しいコミュニケーションが生まれているのかもしれない。よりナマ(生)な何かを求めて人が集まっている」

~だからDJという現場にこだわり続けたのかな。
「そうだね。DJはそこでしか音楽を介した何かの実感を人と共有出来ないし、得られない」

取材・文・構成:サラーム海上 www.chez-salam.com

August 02, 2010

Sacred Days

New Album、ようやっとリリースされます。思えば2009年皆既日食音楽祭の時には8割方出来ていた…ので産まれるまで長かったな〜。音楽産業の現状を体感しつつ、リリ−スまでの物語がいい経験となり糧となった。詳細はお会い出来た方にだけ話します。
なので自分の中ではずいぶん前に完結してた事なんだけど、それが今響くDance Musicか、未来においても聴かれるものなのかは貴方が判断してください。
CDやレコードが企業のエコPRでディスられる音楽ダウンロード時代な昨今だが、長い付き合いになってきたグラフィック・アーティスト、IPPIとの長い対話から産まれたアートワークが強烈です。ぜひパッケージ・アートとしてのCDを手に取って欲しいと考えています。
アルバム・タイトルの「Sacred Days」は、直訳すると「聖なる日々」だが、名付けた意味性は日本の民俗学で言うハレとケ(©柳田國男)の「ハレの日」を英語に変換したもの。Dance Musicが今日担っていると思われる役割の、ある部分をシンプルな言葉に投影しました。
ちなみに先日DJする機会を頂いたDommuneにて、たった今Force of NatureのKZAがプレイ中ですが、さっきアルバムの最後の曲「She Was In Ecstasies」をかけてくれた。涙
8/4 on sale!!!

"Sacred Days"
Seeds And Ground/SAGCD020

01.Musubi
02.The Invisible Eclipse feat. Jebski
03.Happenings
04.Ground Rhythm
05.The Sun Goddess feat. TeN
06.Ancient Future Beings In The Place
07.Celestial Dust
08.Tokyo Diver feat. Sinsuke Fujieda
09.Kamui Fuchi feat. D.G (Lovelight)
10.Sacred Days
11.She Was In Ecstasies

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June 03, 2010

Harmonic Microcosm

祖師ケ谷大蔵のカフェ、Muriwuiで行われたAurora Acousticライブ、最後の参加型セッションの時間。
Flute=Sinsuke Fujieda, Blues Harp=Hiro-King, Didgeridoo=Solea, Percussion=Kazuya Kotani &お客さん, Guitar=Aurora Acoustic

24分間のワンコード・スパイラル・セッション、至福の時間だった。九州ツアーの湯布院(Blue Ballen)の時も、行く道すがら皆で百均ショップで物色したシェイカーや笛、果ては楽器ではないグッズまで、最後にお客さんに配布してセッションしたが、シンプルな音の循環が空間の調和を生んで行く様は実時間を超越した小宇宙を形成しているようだった。
REC音源がこちらで聴けます。DLもまだ出来るかも?
Recorded by Ken Kaizu
Aurora Acoustic Session@Muriwui by Daisuke Kojima

May 15, 2010

La Memoria de la Isla

Freedom Sunset. 8 May 2010

"The Invisible Eclipse feat. Jebski"

Hikko and His Daughter, dancing to "Journey into the Sun"

Sinsuke Fujieda, blowing with "Tokyo Diver"

April 22, 2010

Live and Direct

新しい曲が産み出されるに従ってPCラップトップによるライブも活発化してきています。自身の楽曲がパーツによって少しずつサーチ&デストロイ、スクラップ&ビルドしていく様は自分でも興味深い。今後ますます面白くなって行きそう。
先日のgroundrhythm @ AIRでのライブの冒頭部分をアップロードしました。一緒にEarth Dayへ奉納する主旨でアジアの民俗音楽をミックスした音源もアップしてあります。Music for Prayer

Live at groundrhythm by Kaoru Inoue

March 02, 2010

Haiti Aid @ Super Delux

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毎年江ノ島で開催される野外パーティー「Freedom Sunset」の主宰者、Shibaの尽力により急遽開催に至ったハイチ震災の支援イベント「Haiti Aid」。ことの発端は2002年に制作された、森林保護と貧窮するハイチの経済支援を目的に作られた「バナナ•ペーパー」を使ったCD「banana connection」(現在廃盤)とその参加者への呼びかけ。特にShibaとGoroさん、DJ Kenseiの三人はその時実際にハイチへ赴いているので、思いは強かったはず。詳細
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人が人を呼び、そうそうたる面々が出演となった。吉沢はじめさん率いる「世界逸産」の強力なJAZZグルーヴを母体にGoroさん、Shiba、藤枝伸介、Shing02、Eno、Kujun、朝本浩文、Pirami、Winter、そしてラップトップ部隊、DJ Kensei、Calm、自分、他飛び入りの方まで。様々な組み合わせでセッションが繰り広げられたが、熟練のミュージシャン達による、その場で組み上げられていくハーモニーに圧倒された。
この種のイベントに対しては異論を差し挟む向きもあるだろうが、考えるより先に筋を通しながら行動する人間に明らかに軍配が上がることが、またはっきりと分かった。軍配、と言っても勝ち負けではないんだけどね。そういえばUNITでのレジデント・パーティー「FLOATRIBE」にて行っていた植林支援に対しても筋違いな批判を向ける輩がいたな。批評と自己主張を混同しない方がいい。もっと言うと善意と偽善を混同し見誤るべきではない。Shiba君にリスペクトを。
音楽は確かに解放し、自由にする。本来のハイチ支援に関しては微力だったかもしれないが、音楽の持つ力、共鳴、共振を呼び覚ますエネルギーが確かな実感となって空間を包み込む、素晴らしいイベントだった。ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。Photo by KEEE
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February 24, 2010

Aurora Acoustics at Harajuku Vacant

2009年の冬至2日前に行われた小島大介祭りにて久々の、そしてAurora Acousticsに改名してから初のライブが友人に盗撮(盗録)されていたのでアップしました。mp3レコーダーのマイク録りなので音は良くないけど、CALMな空気は伝わってくると思います。
急遽、SILVERSTONE時代の盟友、小谷和也が加わった全3曲、
1.Winter Solstice、2.熊野、3.夕凪、デスクワークのお供に。

Aurora Acoustics at Vacant by Kaoru Inoue

January 27, 2010

Worldwide120 J-WAVE

新曲「Happenings」がGilles Petersonにピックアップされた縁で、Gillesのラジオ番組「Worldwide」日本版@J-Waveのミックスを手がけました。昨年12月4日オンエアー分で30分と短いですが、せっかくなのでSound Cloudにアップしました。
ラジオのミックスショウは久々だったのでしっかり選曲・構成してあります。昨年のアンセム、Michel Cleis「La Mezcla」のサンプル・ソース、Toto La Momposina y Sus Tambores「El Pescador」収録なので、それ聴くだけでもちょっと遅めのお年玉ぽくないですか?

Kaoru Inoue - Worldwide120 Radioshow by kaoru324

January 08, 2010

2009 disc heritage

2009年中、アンビエント・ミュージック1969-2009を読んでから、アンビエントとそこから派生するような音楽を中心に、時代に逆行するようにCDでずいぶんと購入して聴いていた。聴かないものをいろいろと処分して、どうしても聴いてみたいものを買い求めていると、当たり前のように音楽パッケージ・メディアの究極的な魅力、機能美を再発見する。ヴァイナル・フェティッシュに負けず劣らず、メディア・アートの豊潤な残滓とでも言うべき感触、絶妙のサイズ感に未だ心躍る。パッケージを手にして音楽を再生する、その1枚で区切られた時間は仕事をしていようと車を運転していようと、もちろんその音楽に対峙していても、相当に贅沢な時間だ。今後もMP3や音楽入りSDカードを積極的に買おうとは全く思えない。
ということで、ダンス・ミュージック以外の2009年俺ベストを。と考えたところ、2009年にリリースされたものはそんなに買っていないことが判明…とにかくこういうの、誰にも頼まれてないのに一度やってみたかった〜順不同5点。

saeid.jpgSaeid Shanbehzadeh
"Musiques du Golfe Persique"

以前の記事でも取り上げた、イラン南部ペルシャ湾岸地域の伝承音楽。これは2007年のWOMADシンガポールにてライヴで観た衝撃が強かったので、偶然にCDリリースを発見した時はアガった。録音物も相当にトランシーで強力なので、このご時世に頑張って探してみてください。

james_blackshaw.jpgJames Blackshaw
"The Glass Bead Game"

12弦ギターを様々なチューニングで弾くアコギ技巧派。12弦ギターのみで荘厳なサウンド・スケープを展開していた以前の作品と比べ、ピアノ、ヴォイス、ストリングスなどを導入して極限まで美しいアンサンブルを。宗教芸術の耽美的な精度と響きを彷彿とさせる。シチュエーションによっては涙を誘うでしょう。

mountains.jpgMountains
"Choral"

スリル・ジョッキーからのデビュー盤である本作で初めて知ったNYCの2人組。アコギやドローン、フィールド録音使いなど、Aurora Acousticsの原初の発想と近いものを感じさせ、久々インスパイアされたが、我々は全然制作をしてないな。今年は私家版でもかまわないので作ろう。

white_rainbow.jpgWhite Rainbow
"New Clouds"

知らないアーティストだったがジャケに惹かれて購入、柔らかなサイケデリック音絵巻が凄くいい。上記MountainsとAnimal Collectiveの間に居る感じ。何故かミルトン・ナシメントを想わせるところもある。雲間をず〜っと漂ってていつの間にか波間になったり時々太陽や地上が見えてくるような感覚。

j_frusciante.jpgJohn Frusciante
"The Empyrean"

リリース時にけっこうな話題になっていた作品。何と言うかロックが普遍的に物語るもの、を現代において奇跡的に聴けたような気がした。リスナー・コンシャスに配慮されたミックス、マスタリングも素晴らしい。行き過ぎた量産、産業化の揺り戻しのような時代がこれから来るんだろう、とも認識させられる。

年が明けて実家に帰省したり初詣をしたり新年会をしたり、の合間に鳴っていたのはジャズ。正月にジャズ、は何故だか良く似合う気がする。Roland Kirk「Rip Rig and Panic」が改めて相当いい。ネナ・チェリーが居た同名のポスト・パンク・バンドのファンだったことからのプラシーボ効果かとも思ったが、そういうことでは明らかにない。「Now please don't you cry…」との2in1のCDを持っているが、本人の演奏もさることながら、それぞれElvin Jones、Grady Tateという名ドラマーを擁し、ジャズでしか聴けないグルーヴを存分に放射していて最高。多分Roland Kirkの存在そのものが発火点となって特別なQuartetを形成してるのだろう。というわけでKirk絡みの音を新たに物色中。

riprig.jpgroy_haynes.jpgjaki_byard.jpg

January 02, 2010

2010

新年明けましておめでとうございます。
2010年の幕開けは、09年に引き続きUNITからカウントダウンの大役を頂き、VJの太田唯己さんチームが仕込んできた映像+5分前からのカウント音メッセージ付きをDJミキサーからアウトして、カウントダウンまでの5分間をそのBPMに合わせてプレイ(60秒の倍の120BPM)する、という初の試みを敢行。大いに沸く!
新年1曲目は2010年に因んだネタが隠されている自身の曲「Happenings」をプレイ。以降当然のように酒が進み、DJ後はかなりよくわからない行動を繰り広げていた気が…ご迷惑をかけた方々、この場を借りてお詫び申し上げます。が、楽しかった〜
写真は携帯で撮ったので写りが良くないが、UNITの階上、普段はレストランのUNICEにて、groundrhythm早番のHiroki Murai aka Psychedlic BusのDopeなDJとセッションするSAX奏者、藤枝伸介。こちらも大いに盛り上がっていた。長い付き合いになってきた藤枝は、4月リリースのアルバムで「Tokyo Diver」という曲に参加している。乞うご期待!彼自身、Sinsuke Fujieda Groupとしてそうそうたる面子のバンドを率い、積極的にライブをやっている。Free Jazzすら通過した、SAX一筋、ある意味ハードコアな男だが、またとてもスケベで良い。
まずは皆様本年も宜しくお願い致します。

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December 24, 2009

EMMA + AIBA

年の瀬はやはり慌ただしく過ぎていく。酒は控えめにしているが…
先週末はDJ→ライブ→DJという最近無い流れの2days。MicrocosmosとageHaは祝アニヴァーサリーということで祝杯が上がりっ放し。初日のMicrocosmosで目出たい男、松浦俊夫に酒を奢られまくる中、翌日のAurora Acousticsライブが1年以上振り、という緊張感が微かに頭をよぎり、祭り状態で退散。
小島大介祭りでのライブはパーカッションの小谷和也に急遽加わってもらい、アコースティックなライブ・イベントながら低音もしっかり再生するHiranya Accessコウジの音響も良く、好評のうちに無事終える。クラブとは違う会場がまた新鮮で、DSK周りの音楽家の皆様や久々に会う方々と楽しく過ごす。
そしてageHaへ。DJプレイは1時間で短かったが、前日からの疲れもあり、早々に帰ろうかと思っていたところ、アリーナのDJ EMMA+ライティングAIBAによる、鉄壁の音と光の祝祭空間に時間の感覚を奪われ、魂を揺さぶられる。やはりスゴい。途中、音が止まるトラブル?があったが、それすらがストーリーの一環であるような立ち居振る舞いで、次章へと突入していく、その淀みの無い流れ。彼のファン、フロアを埋め尽くすお客さんはまたそれぞれの言葉で、その一晩の物語を受け止めているのだろう。傍観していては感じられない、渦中に入らないと見えてこない、いや傍観者すら抱き込む大いなるエネルギー。その日その場所に、EMMA+AIBAに感謝。

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December 18, 2009

鳴子温泉郷

仙台SHAFT10周年おめでとう!の翌日、鳴子温泉。次回は翌アフターパーティーを温泉旅館の宴会場でやろうか、とか。島レイブとか。2010年に向けていろいろといい計画が出来ました。仙台のみなさん、いざとなったら役に立つ従弟もいるので、来年もよろしくお願いします。
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December 17, 2009

Twitter

zimbabwe.jpg深夜の野郎家飲み会において、携帯リレー方式による回し呟きにて爆笑しながらデビュー。ジンバブウェからは帰還しておりますので、殊勝な方はフォローしといてください。
「ぼやきじゃないっスよね?」乗り切れないニヒルな気持ち、分かるよ〜
何やら革命的なコミュニケーション・メソッドのようであるし。
親指ピアノで先祖の霊と交信するのとはだいぶ違うのですね!

しかし、いずれこれを多用するような日が来るのだろうか?

December 01, 2009

道央

旭川TRIBE5周年Anniversary Partyの翌々日、昨年の9月以来再訪した晩秋の美瑛の丘に佇むと、空気の煌めきが質量となり音となって聴こえてきた、ような気がした。道央にそびえる山々を東へ超えると、神秘はさらなる実感となるんだろう。旭岳温泉、東川の居酒屋りしり、ラーメンすがわら、などなど至福の3日間。TRIBEスタッフ、ATELIERクルーのみんな、本当にどうもありがとう。

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November 24, 2009

La Ruta Del Sol

過日10月30日にサイデラ・マスタリングにて、チーフ・エンジニア森崎さんの手により来年4月リリース予定のアルバム作品のマスタリングを終えた。実際はあと一曲追加を入れる予定。自転車好き森崎さんの動的マスタリングというか、ノリノリで高品位、な仕事っぷりは最高なので、予算を確保出来る音楽制作者におすすめです。
Luciano_TTTS.jpgその帰り道、Lucianoの新作「Tribute To The Sun」のCD+DVDパッケージを購入。ミニマルというキーワードを基点に、ヨーロッパで何か新しいことが同時多発的に起こっていることを実感させるものの、この音はその突端かつオルタナティブ、かつ音楽的でカラフル、という感じがしてさらに突き抜けてる印象で、とてもいい。オルタナティブ、と言ったのはエスニック(主にラテン・アメリカとアフリカ)な意匠がふんだんに混入されてるからだが、それが移民が多そうなスイスの都市的リアリティーだったり、00年代グローバリズムのB面的普遍性のコンテキスト、メッセージだとしたら?
音の内容はネット上にレビューがいくつかあるようなので置いとくとして、Luciano南米ツアーのロード・ムービー風DVD「La Ruta Del Sol」がまたすごく面白い。南米各都市のヴェニューとダンサーの熱気が感じられるのもいいが、注目はペルーのマチュ・ピチュ遺跡を経て、現地インディオのシャーマンの元、アヤワスカ・セッションをするくだり。事前に携帯で"Modern Time Shaman"にアポイントを取り、アヤワスカ・ツアーの代理店で料金を払い、洗練されたログ・ハウスで体験するのだが、このシャーマンとそのアシスタントが何と言うか胡散臭い!とか言うと怒られそうだが、ツーリズムとスピリチュアリズムの折衷がまた何とも現代的な光景だと言うべきか。「悲しき熱帯」におけるレヴィ=ストロース(Tribute...購入日と同日、100歳で逝去)の憂鬱、その現代版だろうか。アヤワスカをご存知ない方は調べてください。私は体験したことないので、いずれ現代シャーマンのお世話になりに行こうと思っている。

November 19, 2009

Road To The Beach

The Beach @ Microcosmos。思い起こせば20年前、まだ"Rude Flower & The Diamonds"という、StoogesやMC5、日本のサンハウスなどを勝手に憧憬するロック・バンドでギターを弾き、盛んにライブをやっていた頃、川崎クラブ・チッタや現恵比寿ガーデン・プレイスのあたりにあったビア・ホールなどで「Warehouse Party」「革命舞踏会」と銘打って、クラブの営業ではないDJイベントをやっていた"Club King"にて、既に懸命に働いていた同年代の松浦俊夫氏に出会う。私はその時もうDJをやっていた友人に、免許を持っているということで誘われ、デコや機材を運ぶ4tトラックの運転手兼現場のバイトでそこに参加したのだった。強引な4tトラック・デビューの衝撃と共に、何かとてつもないことが起こってる感に圧倒され、バンドはダサイという心持ちになり脱退。
その後の"United Future Organization"の世界的ブレイク、Jazzin @ Yellow(そう言えばGoldでもやっていた)などで活躍を遠巻きに眺め、後にBlueや、彼のオーガナイズするパーティーに誘ってもらったりもしたが、今年5月からスタートした"The Beach"は正に20年目の邂逅。
MicrocosmosはいわゆるクラブではないがオーナーがAIRも手がける村田大造さんである。Cafe & Loungeだが音響、照明まで本気です。そして生音が映える。Jazz、Latin、Rare Groove(とはもう言わないか)etc.で酒も進み盛り上がる盛り上がる…浜辺の特異点。
4回目の11月20日金曜日は松浦俊夫+井上薫に加え、初のゲストに先日傑作1stソロ「High Low」をリリースした、あのA Hundred Birdsでもメイン・ヴォーカルを務める女性ヴォーカリスト、TeNを迎えてお送りします。ぜひ遊びに来てみてください。
ちなみに「High Low」中2曲をプロデュースしました。さらに、2010年4月リリース予定の自身のアルバムに1曲 featuring TeN。お楽しみに。

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November 05, 2009

Final Drop

至近だが11/8日曜日、Club Asiaにて、都内では2年ぶりとなる「Final Drop」のライブがあります。
2002年夏、屋久島に旅立った総勢10名以上のスタッフ、旅行者と共に制作合宿した後、2003年にCD+DVDの「Elements」をリリ−スし、現在まで10回程度のライブ&ヴィジュアル・インスタレーションを行ったのみの神出鬼没プロジェクト。今回のメンバーはDJ KenseiGoRoさん、ex犬式のベーシスト石黒君、井上、映像にSinya Takaokaという布陣。昨夜打ち合わせ兼軽いリハーサルというかセッションをしたが、最新のテクノロジーにGoRoさんの様々な民族楽器とグルーヴ感たっぷりのベースが絡むと、何処とも何時とも特定出来ない、独特で強力かつDOPEな磁場が生まれていく。やはり面白い!今宵はオールナイトでリハーサル。
Final DropでGoogle検索するといくつかレビューなどあるので、参照してみてください。イベントの詳細はここからリンクをたどってください。
↓は「Elements」のジャケ。残念ながら現在廃盤…

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October 28, 2009

出雲

091026_1646~01.jpg日本の民俗フェチと言える自身の性癖(?)を汲んでもらって、年に一度は必ず、しかも彼の地の「神在月」に招聘してもらっている、島根県は松江市のクラブNaked Space。宍道湖を臨む古風な佇まいの街に似つかわしくないとも思える深夜の牙城が、違和感無く街に溶け込んでいるのは、何かとてつもない暖かさにこのクラブが包まれているからじゃないだろうか。
日本のクラブ黎明期に東京でDJキャリアを積んでいたオーナーの奥井淳くん。DJを辞め世界を旅した後、生まれ育った故郷の出雲へ戻ってその情熱をNaked Spaceに結実した。彼の人柄が箱を熟成させているのだろう。
雲出づる国、水の都、神話上の地、そんな神秘の庭にはディープ・ハウスが良く似合う…というわけで10月24日、山陰各地から来て頂いた皆さま、楽しんで頂けたでしょうか?
パーティー明けは淳くんの出雲の実家に延泊させてもらって蕎麦→酒→温泉→酒といった道楽DAY&NIGHTを楽しみつつ、聖域とも言える出雲の野山、八百万の神々の郷を堪能しました。いつも歓待してくれる松江の皆さん、本当にありがとう。
写真は奥井淳と彼の息子、薫。若干5歳だが無敵の風情。名前が同じということもあり薫君!と呼ばれなつかれている。子供かくあるべし!を体現する陽性のパンクスである。

October 15, 2009

舞楽

管絃祭.jpg取材を終え、渋谷の喧噪を抜けて一路、乃木神社へ。管絃祭と題された雅楽演奏会が開催されている。
実は毎年10月末に皇居にて行われる秋季雅楽演奏会に参加申し込みをしていたのだが、今年は「天皇陛下ご即位20年という慶事」にあたるため申込者多数であったようで、抽選に漏れてしまったため、詳しい方に他所でやっている演奏会について教えて頂いた末、辿り着いた。
国家神道の残り香に触れながら、雅楽の奉納演奏に聞き入っていると、平衡感覚というか、時空の認識力があやうくなってくる。笙による高周波の持続音、リズムがないのにシンクロする打点と演奏、舞い。神前に居るという微かな緊張感。大陸由来で日本の古典音楽だが、明らかに「此処」ではない何処かと繋がっている感。永遠に古びない音。

Shanbehzadeh.jpg帰りに久々にタワー渋谷店へ行ったら、2007年にサラーム海上らと行ったシンガポールWOMAD(ピーター・ゲイブリエルが立ち上げたワールド・ミュージック・フェスティバル)最大の想い出、イラン南部のペルシャ湾岸都市に伝わる音楽を継承しているというEnsemble ShanbehzadehのスタジオREC盤が新譜として出ていた。(CDのアーティスト名はSaeid Shanbehzadeh)
アラビア海、インド洋を通じて昔から交易が盛んだったという経緯から、文化的にも人間的にも相当なミックス・ブラッドだということ。政治的な混乱や、軍事、宗教といった面からの緊迫感ばかりが伝わってくる同国の文化的パースペクティブのようなものが立ち上がってくる、シンプルだが奥深い、究極のエキゾティシズム。
ネイ・エ・アンバンというバグパイプみたいな楽器が奏でる彼岸感、この音はスゴい。そして最終的にトランスへ至るという舞楽…
Saeid Shanbehzadeh - Musiques Du Golfe Persique (BUDA/3017925)

というワケでやっと戻ってきました。乃木神社で「御神前につき撮影はご遠慮ください」と言われながらコソ撮りした雅楽道友会の写真(下)幽玄・夢幻ですね。

gagaku

October 14, 2009

町蔵

この前はプログレッシヴ・トランスに先走り興奮してか、なんやかんや御託を書いたが、やっぱコレですかね。
Inu


なまぬるい日常のしぶとい根源
お前は決して逃げない
小さな愛とウィスキイが少しだけ欲しいなら
俺の家に来い...

INU「メシ喰うな」所収「305」より抜粋

高校時代に大ファンだったINU、町田町藏(現:町田康)10代の頃の歌詩。全体はもっと辛辣だが、一瞬覗かせるギリギリの愛、このライン最高に響く。
抽象化されたメッセージに言葉の創造性が加わる時、詩は響いてくる。さらにリズム、歌、だから歌詩って本来かなり高次の表現活動ですね。
そう言えば今までで一度だけ、リキッド・ルーム新宿時代の名物イベント「7hours」でコレをDJプレイ。そういうことじゃないんだけど、そういうこともあるよな〜。瞬間の爆発照射。

October 12, 2009

追想

スピードが命とも思われるブログに一週間前の出来事に想いを巡らすのもどうかと思いますが…
偶数月の第一土曜日(金曜日もイレギュラーであり)はAIRでのgroundrhythm。先日AIRの8周年だったので、そのオープン年から続けているこちらも8歳になる。いろいろと大変な時期もあったが、何とか続けさせて頂いている。10月3日も多くの方に遊びに来て頂き、熱い夜を彩り過ごすことが出来て感謝します。
クラブやDJ、パーティーに関する言説には"Don't think, feel"とブルース・リー的に距離を置いてきたつもりだが、このAIRでのgroundrhythmを隔月で年6回、やっていると毎回あれこれと考えさせられることが多い。もちろん良い意味で。
クラブDJを箱のレギュラーとして始めたのが93年頃、今はもうないが青山にあった真空管といういわゆる小箱クラブで、それも平日火曜日とか木曜日を帯で毎週、やっていた。DJプレイ・スタイルは今と違ってレア・グルーヴ、ジャズ的なものだったが、お客さんのスタンスは箱に遊びに来ているのでDJが誰とかほぼ関係ない、つまり箱の営業と自身の表現欲求みたいなものの接点に常に立っている感じ。
その当時とは比べようもないし、今では多くのファンの方々にも足を運んでもらってるが、AIRでやっている実感は、DJがアーティストのような立ち位置を確立している今のご時世においても、どちらかと言うとそっちに近い。
これはどういう在り方が良いか悪いか、ということをトピックとしているのでは全くないが、それ以前に本質的な問いかけを孕んでいることに気付く。つまりクラブDJとはそもそも何なのかと。これに対するひとつの答えは今となっては無い。答えが無いということが、その多様性や再帰的現状を物語っている。
カオスの矢面に立つ、これほどスリリングなことはそうそう無い。気にすることと言えばもはや瞬間に対する感応力、エネルギーの交感といったスピリチュアルめいたこと、時間をいかに濃密に編み上げることが出来るのか。自分で言うのはこそばゆいが、アーティストとしていかに利他的に振る舞えるのか。それらをトランス寸前の運動として実行出来るのか?
長くなるのでまた今度にします。今宵はageHaのウォーターバーにて、アリーナはプログレッシヴ・トランスの雄Son Kiteがメイン。それにしてもプログレッシヴ・トランスというジャンル名はスゴい。全てを超克しているような…

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October 01, 2009

黒潮

久々のアルバム制作終了の目処、と共に夏が終わり、ほうけているうちに早ひと月。遅ればせながら私の夏の総括ということで、今夏最も印象深かった潮流について記します。

かなり今更ながら奄美皆既日食音楽祭、今ではのりピーもそこに居た、というくらいにしか人々の記憶にとどまっていないかもしれないが、皆既日食の前夜、いわゆるレイヴ・カルチャーの日本的原風景とでも言うべき圧倒的な光景が現出していた。

メンバー総勢180名近くで行われた、ゆったりとした島踊り、八月踊りの後に「奄美いっちゃりょん会」によって演奏された六調(奄美諸島の舞曲)にあらゆる世代・人種が巻き込まれぐるぐる踊っている。このbpmでノンストップ。無礼講、ええじゃないか的アナーキー。明らかに音楽祭のハイライトだった。
この興奮を帰って来てから友人に話したところ、やはりそれは黒潮のワイルドな流れを模した、その潮流が生んだ黒潮文化とでも言うべきものではないか。という話に発展し、そこからひと月後に控えた、東京でも継承・発展されている阿波踊りへと接続。

初めて観に行った高円寺阿波踊りはもはや黒潮の潮騒が沸点を超え、ブラジルのバイーアあたりと同時多発祭りを開催しているような…激しい。
それで驚いたのが、重低音を担当してる大太鼓系がスゴいタイミングで音を抜きます。ハット系の鉦はビートをキープ。アイソレーターでダンスフロアを盛り上げてく感じを組織的にやっている。踊りは止まらない、踊り子はみな恍惚の笑顔。
伝統がかくも鮮やかに継承され、現在進行形として提示されているのが素晴らしい。こうした潮流が10年代の日本社会に何らかの影響力を持ってコミットメントしていったら面白いですね。

というわけで久々にyoutubeを見ていたら、20年ほど前に錦糸町に観に行った

河内音頭に辿り着いた。ビートがスウィングしたりシンコペートしたり、8ビートっぽくなったり、変幻自在。

ところで皆既日食自体はどうだったのか。ご存知の通り奄美大島北端では曇っていて見えない日蝕「The Invisible Eclipse」
陰りが、見えない。意味深でした。ちなみに世界の様々な先住民の間では、日蝕は見てはいけない不吉なもの、との言い伝えが多いそうです。

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